「ちゃんと歯を磨いているのにむし歯になる…」そんな経験はありませんか? 日々の歯磨きはセルフケアの基本ですが、それだけでは不十分な場合もあります。この記事では、オーラルケアグッズの種類と正しい使い方、さらに基本の歯磨き・フロスの選び方まで、効果的な予防法を詳しく解説します。
むし歯予防の基本とオーラルケアトレンド
むし歯予防の基本は、毎日の丁寧な歯磨きです。ただし近年では、歯間ブラシやデンタルフロス、マウスウォッシュ、舌ブラシなどを組み合わせた複合的なセルフケアが浸透しつつあります。こうした背景には、国民の予防意識の高まりがあるといえるでしょう。実際、2023年に実施された「令和5年 国民健康・栄養調査」(※)によると、20歳以上で「過去1年間に歯科検診を受けた者」の割合は全体の58.8%にのぼりました。これは、2012年の47.8%、2016年の52.9%と比べても着実に増加しており、予防歯科への関心が年々高まっていることがうかがえます。
一方で、オーラルケアグッズの中には、使い方を誤ると逆効果になりかねないものもあります。例えば、舌ブラシは舌苔の除去に有効とされていますが、強くこすりすぎると粘膜を傷つけてしまうおそれがあります。また、マウスウォッシュの中にはアルコール濃度が高く、口内の粘膜を刺激してしまうタイプもあるため、成分表示をよく確認したうえで選ぶことが大切です。
こうした点からも、むし歯予防には「正しい知識」と「継続できるケアの習慣」が欠かせません。自分に合ったオーラルケアを見極め、日々の生活に無理なく取り入れていくことが、健やかな口内環境を保つカギとなります。
※出典:令和5年国民健康・栄養調査(厚生労働省)
調査対象:令和5年国民生活基礎調査で設定された単位区から層化無作為抽出された300単位区内のすべての世帯および世帯員(令和5年11月1日現在で1歳以上の者)のうち、20歳以上の男女5,470人を対象に実施
https://www.mhlw.go.jp/content/001435384.pdf
一方で、オーラルケアグッズの中には、使い方を誤ると逆効果になりかねないものもあります。例えば、舌ブラシは舌苔の除去に有効とされていますが、強くこすりすぎると粘膜を傷つけてしまうおそれがあります。また、マウスウォッシュの中にはアルコール濃度が高く、口内の粘膜を刺激してしまうタイプもあるため、成分表示をよく確認したうえで選ぶことが大切です。
こうした点からも、むし歯予防には「正しい知識」と「継続できるケアの習慣」が欠かせません。自分に合ったオーラルケアを見極め、日々の生活に無理なく取り入れていくことが、健やかな口内環境を保つカギとなります。
※出典:令和5年国民健康・栄養調査(厚生労働省)
調査対象:令和5年国民生活基礎調査で設定された単位区から層化無作為抽出された300単位区内のすべての世帯および世帯員(令和5年11月1日現在で1歳以上の者)のうち、20歳以上の男女5,470人を対象に実施
https://www.mhlw.go.jp/content/001435384.pdf
むし歯が発生する仕組み
むし歯は、糖を栄養源に増殖したミュータンス菌などの原因菌が酸を作り、歯の表面を構成するエナメル質を溶かす「脱灰(だっかい)」から始まります。その状態が続くと歯に穴が開き、むし歯として進行していきます。近年では、ミュータンス菌以外のさまざまな細菌も関与しており、口内フローラ(細菌叢)のバランスが、むし歯の発生・進行に大きく関わっていることがわかってきました。さらに、歯並びの乱れや唾液の分泌量も、むし歯リスクを左右する要因とされています。
むし歯予防が重要な理由
むし歯は自然に治ることはありません。放っていくとどんどん悪化して、最終的には歯を失うリスクがあります。近年ではむし歯や歯周病などの口内トラブルが、糖尿病や心疾患など全身の健康と関連していることも指摘されています。だからこそ、日頃からの予防と早期のケアが重要といえるでしょう。
オーラルケアの現状
厚生労働省が発表した「令和6年歯科疾患実態調査(※)」によると、1歳以上の人で毎日歯を磨いている割合は97.2%にのぼります。中でも、1日2回以上磨く人の割合は年々増加しており、2024年時点では82.0%と高い水準でした。
また、歯ブラシによる清掃に加え、加えて歯や口、舌のケアを行っている人は全体で63.4%。歯間ブラシやデンタルフロスなどの歯間清掃用具を使用し、歯と歯の間を清掃している人は54.2%と、半数を上回る結果となりました。性別で見ると、ほぼすべての年代で女性の実施率が高く、とくに40~70代の女性では7割以上が歯間清掃を行っていたことが明らかになりました。
※出典:厚生労働省「令和6年歯科疾患実態調査」
調査対象:令和2年国勢調査で設定された調査区から無作為抽出された全国475地区内の1歳以上の住民のうち、男女14,506人を対象に実施
https://www.mhlw.go.jp/content/10804000/001512690.pdf
また、歯ブラシによる清掃に加え、加えて歯や口、舌のケアを行っている人は全体で63.4%。歯間ブラシやデンタルフロスなどの歯間清掃用具を使用し、歯と歯の間を清掃している人は54.2%と、半数を上回る結果となりました。性別で見ると、ほぼすべての年代で女性の実施率が高く、とくに40~70代の女性では7割以上が歯間清掃を行っていたことが明らかになりました。
※出典:厚生労働省「令和6年歯科疾患実態調査」
調査対象:令和2年国勢調査で設定された調査区から無作為抽出された全国475地区内の1歳以上の住民のうち、男女14,506人を対象に実施
https://www.mhlw.go.jp/content/10804000/001512690.pdf
歯ブラシ・フロス以外のおすすめオーラルケアグッズ
歯ブラシやフロス以外にも、口内を清潔に保つためのさまざまなオーラルケアグッズがあります。ここでは、自宅で気軽に使えるおすすめのアイテムをご紹介します。
マウスウォッシュ
液状のデンタルケアアイテムです。殺菌・抗炎症作用などの成分が口のすみずみまで行き渡り、細菌を減らしてむし歯や歯周病、口臭を予防する効果が期待できます。歯磨き後に適量を口に含んで30秒ほどすすぐだけなので、忙しい朝や外出先でのケアにもぴったりです。
タングスクレーパー(舌クリーナー)
舌の汚れ(舌苔)は、細菌の温床となりやすく、口臭やむし歯の原因になることがあります。タングスクレーパーは、こうした汚れを効率よく取り除くための専用アイテムです。歯ブラシで代用することもできますが、舌を傷つけやすいため、専用の道具を使うほうが安心です。
ただし、舌はデリケートな部位なので、力を入れすぎないように注意しましょう。
ただし、舌はデリケートな部位なので、力を入れすぎないように注意しましょう。
デンタルミラー
デンタルミラーを使えば、奥歯の裏側や歯の隙間など、普段は見えにくい部分まで自分の目で確認できます。磨き残しや歯垢(プラーク)の溜まり具合を把握しやすくなり、初期のむし歯や歯の変色といった小さな変化にも気づきやすくなります。こうしたセルフチェックを習慣づけることで、より効果的な予防につながります。
キシリトールガム/タブレット
キシリトールには、むし歯の原因菌の働きを弱め、歯のエナメル質を溶かす酸の産生を抑える作用があるとされています。とくにガムタイプは、そしゃくによる刺激で唾液の分泌を促し、歯の再石灰化を助ける効果も期待できます。口内が酸性に傾きやすい食後に摂取するのがおすすめです。
ジェットウォッシャー(家庭用口腔洗浄機)
細いノズルから噴射される水流によって、歯と歯ぐきの間に溜まった汚れを洗い流す口内ケア機器です。フロスよりも操作が簡単で、技術や慣れがなくても使えます。とくに矯正中の方は、ワイヤーや器具の隙間に汚れが残りやすく、フロスが通りにくい場合がありますが、ジェットウォッシャーなら効率的なケアが可能です。
乳酸菌タブレット
口内環境のバランスに着目したサプリメントとして注目されているのが、乳酸菌配合のタブレットです。善玉菌の増加を促すことで、健やかな口内フローラの維持に役立ちます。
オーラルpHチェッカー
口内のpH(酸性・アルカリ性の度合い)を簡単に測定できるツールです。通常、唾液の働きにより口内は中性に保たれていますが、食後や甘いものを食べた後は酸性に傾きやすくなります。酸性状態が続くと歯のエナメル質が溶けやすくなり、むし歯のリスクが高まります。オーラルpHチェッカーを活用すれば、口内の酸性状態を可視化できるため、間食のタイミングや食習慣の見直しにもつながります。
口内環境チェックは歯科医院でも
歯や口の健康を維持するためには、歯科医院での専門的なチェックが欠かせません。歯科医院では、むし歯や歯周病のリスクを数値でチェックし、早期発見、早期治療につなげることができます。唾液検査の1つである「シルハ」のように、専用の液体で10秒ほど口をすすぐだけで、むし歯や歯周病リスクを可視化できる検査もあります。自分の状態を把握し、必要なケアや予防策を取るためにも、定期的なチェックを習慣化しましょう。
基本も大事!歯ブラシ・フロスの使い方・選び方
新しいオーラルケアグッズが注目される一方で、歯ブラシやフロスなど、基本的なケアを正しく行うことが、むし歯や歯周病の予防において重要です。ここでは、それぞれの使い方や選び方のポイントをご紹介します。
歯ブラシ
歯ブラシは、毎食後・起床時・就寝前のタイミングで行うのがおすすめです。毛の硬さや形状、ヘッドの大きさなどは、口内の状態に応じて選びましょう。以下は選び方の一例です。
毛の硬さ
- やわらかめ:優しく磨きたい方、歯ぐきから出血しやすい方
- 普通:多くの方にとってバランスの取れた選択です
- 硬め:磨く力が弱い方におすすめです
ヘッドの大きさ
- 小さめ:口が小さい方や、歯並びが複雑な方、丁寧に磨きたい方
- 普通:さまざまな口内にフィットしやすく、標準的な選択です
- 大きめ:口が大きい方、細かい操作が苦手な方、短時間で磨きたい方
自分に合った歯ブラシを選ぶには、歯科医院で口内の状態を確認してもらい、アドバイスを受けるのが安心です。
歯ブラシ選びにはこの記事も参考にしてみてください。
歯ブラシ選びにはこの記事も参考にしてみてください。
歯磨き粉
乾いた歯ブラシに適量(毛先の3分の1程度)を取り、丁寧に磨いた後は軽くすすぐようにしましょう。歯磨き粉をつける前に歯ブラシをぬらすと、泡立ちが良くなりすぎてしまうため、実際にはしっかり磨けていなくても「十分に磨けた」と錯覚してしまうことがあります。また、歯磨き粉を過剰に使うと泡が多くなり、途中で吐き出してしまって、磨き残しの原因になることもあります。
歯磨き粉を選ぶ際には、フッ素入りの歯磨き粉を選びましょう。フッ素は歯の「再石灰化」を促してエナメル質の修復を助けるため、むし歯予防に効果があります。
歯科専売の歯磨き粉は、市販品と比べてフッ素や抗菌成分の濃度が高めに設定されていることが多いのが特徴です。一方、市販品は誰にでも使いやすく設計されているため、選びやすさがあります。
自分に合った歯磨き粉を見つけるためには、歯科医院で口の中の状態を確認してもらい、専門的なアドバイスを受けながら選ぶのがおすすめです。
自分に合った歯磨き粉を見つけるためには、歯科医院で口の中の状態を確認してもらい、専門的なアドバイスを受けながら選ぶのがおすすめです。
フロス・歯間ブラシ
歯と歯の間は、歯ブラシだけでは汚れが落としきれず、磨き残しが発生しやすい場所です。そのため、フロスや歯間ブラシを使ったケアは欠かせません。これらのアイテムを正しく使うことで、歯と歯の間の汚れを効率的に取り除き、むし歯や歯周病のリスクを減らすことができます。
フロスは、歯と歯の隙間が狭い方に向いており、細かい部分までしっかりケアできます。一方、歯間ブラシは隙間がやや広めの方に適しており、歯の生え際周辺の清掃にも役立ちます。自分に合った道具を選び、毎日のケアに取り入れることが、口内の健康を維持するためのポイントです。
フロスは、歯と歯の隙間が狭い方に向いており、細かい部分までしっかりケアできます。一方、歯間ブラシは隙間がやや広めの方に適しており、歯の生え際周辺の清掃にも役立ちます。自分に合った道具を選び、毎日のケアに取り入れることが、口内の健康を維持するためのポイントです。
まとめ|むし歯予防は「正しいグッズ選び×使い方」で変わる!
むし歯を予防するためには、基本となる歯磨きだけでなく、自分に合ったオーラルケアグッズを正しく取り入れることが大切です。ケアアイテムやセルフチェック用のツールをうまく活用することで、むし歯のリスクを大きく下げることができます。毎日のセルフケアを積み重ねることで、将来の口の健康を守りましょう。